魚拓には芸術的なカラー魚拓なるものがあるが、釣り人が集まる所にあるのは墨汁だけの魚拓がほとんどだ。
釣り上げた獲物の記録だから、大きさがわかればそれでいいのだ。
たまに記載された魚種名を読まなければ何の魚かわからないベタっとしたタイ焼のようなものもあるが、墨の濃淡だけで立体感がある綺麗なものもある。
時には思わず見入ってしまう、まるで釣り上げた直後の魚の表情をしたものがある。
釣り上げた直後の魚は美しい。
その表情は野性味ある猛々しい姿だ。
もっとも、それは釣った側からの所見であり、釣られた側からすれば必死の形相なのかもしれないが、釣り人のとってはそれが一番その魚らしい姿なのだ。
そんな姿を写し取った魚拓は見ていて楽しくなる。
綺麗でなくても、場合によっては雑とも思える仕上がりが、うまくその魚の勇猛さを表現していることもある。
活き活きとした魚拓を見ると釣り人の当時の心境を感じられるようで楽しいのだ。
僕もそんな魚拓をとりたくて何度かチャレンジしてみたが、今のところ死んだ魚の写しにしかならないでいる。
最近では諦めてデジカメで済ましてしまっている。
初めて釣った石鯛とクエ。
目すら入れずに放置してます。