底物へのチャレンジ

磯の上物釣りにのめり込んでいったが、年中磯に通っていたわけではない。

グレ狙いの磯釣りは10月後半から2月前半の4カ月間ほどだ。

それ以外のシーズンは、春のアオリイカ、初夏のキス、ジギング船でルアー釣り等、統一性のない色んな釣りを楽しんでいた。

グレ釣りを覚えて10年ほど経った頃、何かきっかけがあるわけではなく、純粋になんとなく、石鯛釣りをしてみたくなった。

友人に石鯛釣りをする者はいなかった。

教えてくれる者がいないまま、全く未知の分野に手を出すことにしたのだ。

幸いにもパソコンをいじればそれなりに情報を得ることができた。

予想はしていたことだが、道具を全て一から揃えるとなると結構お金がかかる。

そもそも軽いノリで気まぐれにやってみたいだけだ。

その後も続けるかどうかも分からないものに高価な新品を購入する勇気も余裕もない。

取り敢えずは中古を物色することにした。

石鯛釣り特有の装備といえば、真っ先に思いつくのが竿とリールとピトンだ。

まずは石鯛竿だが、中古といえども値段はピンキリだ。

値段の差には当然それなりの理由があるのだろうが、僕にはその理由が全くわからない。

石突きが付いているのが石鯛竿ということぐらいしか知識がないのだから仕方がない。

中古オークションで出品されている石鯛竿を5000円までで入札してみたら、一件落札することができた。

次はリールだ。

竿と同様に5000円までで入札したら二件落札してしまった。

ピトンは近所の釣具屋でポインター(数千円だったかな?)を購入。

バッカン等、上物でも使うものはそのまま流用して、いよいよ装備は整った。

ネットで得た情報だけを頼りに、脳内で妄想を膨らませ、一人で底物デビューを果たしたのであった。